Illustratorはどんなソフト?

Illustratorをまったく使ったことがない人のために、初歩的なこともざっくり説明しておこう。
まず、どんなときに使うソフトなのかを知りたいよな。

ポイント
■ 核となる機能は「ベクター画像の編集」。

■ ロゴ、アイコン、地図、ダイアグラム、イラストなどを制作するのに便利。
■ ページ数の少ない印刷物の「台紙」としても使える。

DTPの三種の神器

DTPの黎明期には、「三種の神器」という言葉があったんだよ。

一般に、DTPの制作では、3種類のソフト(ページレイアウトソフト、ラスター画像編集ソフト、ベクター画像編集ソフト)を使うんだ。

かつては「QuarkXPress」「Photoshop」「Illustrator」の3つを指すことが多かったけど、現在では、

■ ページレイアウトソフト:InDesign
■ ラスター画像編集ソフト:Photoshop
■ ベクター画像編集ソフト:Illustrator

と、すべてアドビの製品が事実上の標準になっているな。

ページレイアウトソフト(InDesignなど)

「ページレイアウトソフト」は、ページの台紙を作って、テキストや画像を配置していく作業を担うよ。

「Word」みたいだって? 
うーん、「Word」は「ワープロ」だからなあ⋯⋯。
でも、まあ、イメージとしてはそれでいいよ。

InDesign 2020のスプラッシュ画面

ラスター画像編集ソフト (Photoshopなど)

「ラスター画像」っていうのは、「ビットマップ画像」と同じ意味。
デジタル写真でおなじみの「ピクセルの画像」を編集するソフトだ。

「写真加工アプリ」みたいなものかって? 
まあ、そうだな⋯⋯。

Photoshop 2020のスプラッシュ画面

ベクター画像編集ソフト(Illustratorなど)

この「ベクター画像」の部分を担うのが「Illustrator」だ。

強いて例えると、「オートシェイプ」みたいなイメージかな。

Illustrator 2020のスプラッシュ画面

Illustratorが得意とする「ベクター画像」とは?

「ベクター画像」「ラスター画像」の違いは、よくこんな図で説明されているな。

ベクター画像(左)とラスター画像(右)(イメージ)

「ラスター画像」がピクセルで構成されているのに対して、「ベクター画像」は「ベクトル」、つまり「方向性とその強さ」で形を定義しているんだ。

「ベクター画像」は解像度に依存しないから、拡大や縮小を繰り返しても画質が劣化しないという強みがあるよ。
ロゴ、マーク、ピクトグラム、アイコン、テクニカルイラスト、地図、概念図、ダイアグラムなんかを作るのは、得意中の得意だ。

一方で、複雑で微妙な諧調を持つ画像の扱いは苦手だ。
「Illustrator」っていうくらいだから、「イラストを描くのに向いているに違いない」と思っている人もいるかもしれないけど、「油彩画」、「水彩画」「パステル画」みたいな、微妙な中間調のある絵を描くのには向かないよ。

そういうのを描きたい人は、「Painter」とか、ほかのソフトを検討したほうがいいだろうな。
いわゆる漫画みたいなものなら、「CLIP STUDIO PAINT」かな。

「Illustrator」を使った制作物の典型的なイメージは、こんな感じだよ。

Illustratorを使った制作物の典型的なイメージ
画像引用元:LogoLounge

パーツだけでなく、台紙としても使える

「InDesign」、「Photoshop」、「Illustrator」は、それぞれの機能が少しずつ重複している部分があって、「InDesign」や「Photoshop」でも「ベクター画像」の編集はいくらかできるし、「Illustrator」でも「ラスター画像」の編集はいくらかはできるようになっている。

「台紙」を作る役割を果たすのは「ページレイアウトソフト(InDesignなど)」だとさっき書いたけど、いわゆるペラもの(チラシ等)ポスターレイアウトの自由度が高くてページ数の少ないもの(パンフレット等)なんかでは、「Illustrator」で台紙を作ってしまうことが多いよ。

つまり、「InDesign」は使わないで、「Illustrator」と「Photoshop」だけで作れてしまう印刷物もたくさんあるってことだ。

写真を使わないもの、例えば名刺なんかなら、「Illustrator」だけでも作れるぞ。

名刺のデザイン例。こういった感じのものなら、Illustratorだけで作れる
画像引用元:The Legacy Printing